太陽光発電のいろは「みちしるべ」
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産業用太陽光発電で見られるトラブル

業用太陽光発電において、多く見られるトラブルが2つあります。PID現象と層間剥離です。ここでは、そのうち層間剥離についてと、この2大トラブルほどではないですが、高温多湿の季節が長く続く日本ならではのトラブル、「ホットスポット」「マイクロクラック」「フレームの破損」などのレアなトラブルについて解説してあります。※2大トラブルのもうひとつは、産業用太陽光発電の2大トラブルの一つPID現象と対策をご参照ください。


2大トラブルの一つ層問剥離とは何か?

 太陽光発電モジュールにとって一番気をつけなくてはいけないものが水分です。なぜなら、水分は金属を酸化、腐食させ「素材そのもの」を劣化させることで、発電量を減少させるからです。また、。長期間にわたりモジュールに水分がつくことで、パネル表面ガラスと太陽電池セルの周りにある合成樹脂がはがれてしてしまい、そこに空気が入ることで電気抵抗が生じ、出力低下につながります。これが、層間剥離と呼ばれるものです。この層間剥離は、産業用だけではなく、住宅用でも起こることなので、太陽光発電設置予定場所の近隣で、太陽光発電を導入している家や事業者があれば、その太陽電池パネルの表面を見ることで簡単に層間剥離が起こりやすい環境かどうかを見極めることができます。太陽光パネルを見ると。稀に白く変色している部分かあると思います。このパネル表面の白く変色している部分が、層問剥離が起こっている状態です。層間剥離が起きている部分は発電していないので、その分発電量は低下してしまう上に、その他のセルにも影響を及ぼして、全体における剥離した部分の面積以上の割合で、発電量が低下することになってしまいます。

【層間剥離しているパネルの画像】

層間剥離

 

層問剥離の原因と対策

基本的に太陽電池モジュールは内部に水分が入らないように設計されていますし、施工されます。電気を発電する部分なので、雨水等の混入は単に設備の劣化を招くだけではなく、火災等の原因にもなりかねないからです。ところが、太陽電池モジュールを作る工場にしても、施工する職人さんにしても、「完璧」ということはありません。基本的に雨水は浸入しないまでも、水よりも粒子が小さい湿気などは、内部に混入させてしまうことがあるのです。結果、樹脂が劣化して、より多くの水分が内部に流入することになります。当然、層間剥離は、そんなに頻繁に起こることではないですが、地域的に層間剥離が起こりやすいエリアであることもあるでしょう。たった一箇所の層間剥離が全体的な発電量を低下させてしまうこともあるので、万が一層間剥離が起こってしまうような場合には、販売店に連絡して、パネル自体を交換してもらうことが必要です。製品が原因の場合は、メーカーが保証してくれますし、施工が原因の場合は販売店が保証することになります。いずれにせよ、層間剥離は、100%未然に防げるものではありませんので、定期的に点検、メンテナンスをすることで、早期発見、早期対処をすることが、対策として重要になります。

 

その他のトラブル「ホットスポット」「マイクロクラック」「フレームの破損」

産業用太陽光発電で起きる大きな不具合としては、PID現象と層間剥離の2つが中心ですが、その他頻度はより少ないものの、日本という高温多湿の環境によって生じるリスクがあるトラブルとして、「ホットスポット」「マイクロクラック」「フレームの破損」というものがあげられます。これらは、頻度が少ないので、基本的にはあまり考慮する必要はないですが、万が一発生した場合には、早急に対応する必要があるので、定期点検時に必ず異常がないか確認し、対応してもらえるようにしてください。ご自身で点検する場合に、見極められるよう、内容を簡単に説明しておきたいと思います。今はさらっと読んで頂くだけでかまいませんが、太陽光発電所を運営するようになり、定期点検をする際には、必ず頭にいれておいていただくようお願いします。
「ホットスポット」とは、セルの異常発熱現象のことを差します。メーカー不良か施工不良により、太陽光モジュールの蜜閉が十分でないために、内部に水が入り込んだ場合や、落ち葉や鳥の糞ななどの付着物が長期間にわたってパネル表面に付着し続けて、影を作る場合などに発生します。そうなるとセルが異常発熱して、破損、発電量の激しい低下を招くことになります。現在のパネルは、基本的にはバイパスダイオードの導入などで、ホットスポット現象が起こらないような仕組みになっています。しかし、一部セルの発電は停止してしまいますので、発電量の監視とパネルの目視によって、常に警戒しておくことが大切になります。水分のパネル内部への流入は、メーカーや販売店が原因のことで、極めて稀ですが、鳥の糞が付着することは注意する必要があります。基本的に落ち葉は付着しても雨風で流されるため、長期にわたって付着することは考えにくいですし、鳥の糞についても基本的にはパネルがツルツルしていることと傾斜があって鳥が止まることができないため、パネルの上で糞をすることがあまりないとされています。しかし、例えば雨上がりの強風で飛んできたしめった葉っぱがパネルの上に落ち、その後急激に天気が回復したりすると、パネルの上で葉っぱが乾いて強く付着して、雨風では落ちないことも想定されます。また、鳥は場合によっては飛びながら糞することもあるでしょう。以上のことから、発電量の監視とパネル表面の定期点検については確実に一定期間毎に実施する必要があるでしょう。
「マイクロクラック」とは、日本語に訳すと、小さなヒビのことを意味しており、製造過程において入ってしまうと考えられています。本当に小さなヒビであることから、マイクロクラックは検品等で見つけることは困難です。マイクロクラックがあるパネルの場合設置後の環境の変化によって素材が伸び縮みすることでヒビが広がっていくと、最終的には火災の原囚になることもあります。当然、火災が発生する前に水が内部に流入することから、ホットスポット現象が起こったり、発電量が低下したりしますので、定期点検で発見することができますし、当然のことながらメーカー保証で交換してもらうことができます。
「フレームの破損」は、太陽電池パネルを取り囲んでいるフレームがゆがんだり曲がったりしてしまうことでセルに水が入り込み、先ほど説明したホットスポット現象が発生しやすくなってしまうことです。太陽光パネルは特に夏になると内部の温度は最高で80℃くらいにまで上昇するといわれています。当然、パネル自体にもパネルを支えるフレームにも、高温による負荷がかかるため、こういった事象が発生する可能性が出てくるわけです。

 

大切なことは定期点検とメンテナンス

以上のように、太陽光発電所経営においては、トラブルがまったく起こらないという保証はありません。常にトラブルが起こる可能性があることを想定して行動すべきということになります。これは何も太陽光発電に限ったことではなく、あらゆる投資、事業においても同様のことがいえます。常に収益とリスクのバランスを考えながら、利益を最大化し、リスクを最小化することが投資家として事業家として求められることになります。リスクを最小化するためには、どのようなトラブルが発生する可能性があるのかを事前にしっかりと調べておくことです。そして、万が一そのトラブルが起こった際にどう対処するかを決めておくことが大切になります。さらには、そもそもそういったトラブルを未然に防ぎ、いち早く発見するために、定期的な点検とメンテナンスをすることが必要になるわけです。

太陽光発電にとって重要となるメンテナンス参照

また、設置場所の環境によって、生じるトラブルには傾向性があるはずです。現地調査をした際に、しっかりと販売店に調査をお願いし、契約時に運用時の点検メンテナンスについて、注意点等を詳しく打ち合わせることが大切になるでしょう。

高確率で優良な太陽光発電の販売店を見つける方法参照ください。

 


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