太陽光発電のいろは「みちしるべ」
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太陽電池の最適な設置角度は何度か?

陽光発電システムの発電量をより大きくしたい、と思うのは、誰でも一緒ですよね。
そのためには、太陽光発電パネルの向きと傾斜角をベストな状態にしておく必要があります。
※新築の場合は、方位から選ぶことができますし、設置角度も自由に定めることができます。

ちなみに、基本的には、優良業者は太陽光発電にとってもっともよい状態を作るように設計してくれますが、まれに専門知識のない業者だと、全国一律で傾斜角30°にしてしまう業者もあると聞きます。そのため、導入する方としても、しっかりと基礎知識として最適な設置角度の求め方を知っておくとよいでしょう。

方位については、真南に向いているのがベストです。
※方位や設置核の大切さの基礎は、太陽光発電にとって最適な設置方向・方角や角度は?参照ください。

屋根の傾斜角については、お住まいの地域によって違います。
パネルの設置場所の年間日射量変動によって考えられたベストな値があるので、インターネットを活用すれば、比較的容易に調べることができます。ちなみに、年間で最大の日射量が得られる屋根角度=年間最適傾斜角ということができます。

日本においての平均的な年間最適傾斜角は、30°で北海道から沖縄までで、大体10~40°の値に入ります。また、各月、各季節によっても違ってきます。


ベストな角度はどうやって調べるの?

個人がベストな角度を調べるのに役立つサイトとして、「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の日射量データベースがあげられます。NEDOというのは、国が出資して作られている研究機関で、太陽光発電関連の中核的な存在です。NEDOのサイトでは、次のようなことをインターネットで公開しており、誰でも無料で情報収集することができます。

  • 日射量に関するデータを採取管理
  • バイオマス賦存量・利用可能量の推計 GISデータベース
  • メガソーラー建設支援ツール、日本における風力発電設備・導入実績

このうちベストな角度を調査するのに利用するのが、年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)です。
(当サイトでも、何度もここで得たデータを参照元として利用しています。)

年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)は、国内837地点・29年間(1981~2009年)の日射量データベース。なんと過去29年間のデータが蓄積されているわけなので、平均的な日照量などを計算すれば、向こう10年の日照量も比較的容易に、しかも高い精度で予測することができます。
方位角別、傾斜角別の月間総日射量が表示可能で、角度による違いも知ることができます。


地域別の年間最適設置角度をチェックしてみましょう

まずは、参考までに日本全国主要地域の最適設置角度をご紹介したいと思います。
関東・東北・九州、また発電効率NO.1の長野県、発電量NO,1の沖縄県もプラスした5つのエリアにしてみました。

代表的な場所の傾斜角を知ることは、さほど重要ではないので、月や季節の変動によってどう変わるのかをイメージとして見ていってください。
※PCのスキルが足らず細かい表にできていません。
のちほど、あなたの場所の最適な設置角度の求め方を紹介するので、イメージ程度でとどめて頂けたらと思います。

月別最適傾斜角を各エリア、次の順番にならべています。
/1月/2月/3月/4月/5月/6月/7月/8月/9月/10月/11月/12月/*年間/**冬12月-2月/**春3月-5月/**夏6月-8月/**秋9月-11月

【仙台市の月別最適傾斜角】
61.5/51.9/38.0/21.8/9.8/3.6/6.0/14.6/26.9/44.5/57.1/62.3/*34.5/**58.3/**23.3/**8.4/**44.0

【東京都23区の月別最適傾斜角】
60.0/49.5/34.4/19.0/6.7/2.1/4.0/13.1/24.3/40.6/55.1/60.8/*32.8/**56.8/**20.1/**7.0/**41.4

【長野市の月別最適傾斜角】
59.4/50.4/35.6/20.2/7.6/3.0/4.7/14.2/26.6/42.4/55.3/60.1/*30.0/**56.2/**20.7/**7.3/**41.7

【福岡市の月別最適傾斜角】
50.9/43.8/31.3/17.2/5.1/0.9/2.2/11.6/24.9/41.4/50.9/55.0/*26.1/**49.6/**17.3/**5.2/**38.7

【那覇市の月別最適傾斜角】
42.2/33.1/22.0/10.0/0.3/-4.5/-4.0/5.3/19.3/33.9/43.0/47.4/*17.6/**41.3/**9.7/**-1.1/**31.0

いかがですか?月によって大きく違っていることがわかると思います。
まず、時期に注目してみましょう。お気づきのように、どの都市も4月頃~徐々に太陽の角度は高くなっていっています。また最大ピークは8月、最小ピークは12月となっています。

次に、地域別に注目してみましょう。
当たり前のことですが、南に行くほどその設置角度は低くなっています。
驚くべきことに、那覇市は驚くべき事マイナス表示です・・・。
しかし、これは太陽が0度以下に位置する訳ではありません。
太陽日射をベストな状態で受け止めるための「推定屋根角度」となっているわけです。

このように、年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)で、月別のベスト傾斜角を求めて頂いて、平均値を取ることで、その地域でのベストな傾斜角を求めることができるということになります。※ただし、厳密には、日照時間との兼ね合いもあるので、夏場の日照時間が長い方により比重を重くする必要があるため、最終的には、専門的な計算方式を取り入れる必要がありますが、ここでは、販売店がしっかりと計算しているかを確認するための「概算計算式」として、頭に入れておいて頂けたら幸いです。

ここまで、設置角度についてお伝えしてきました。
基本的に太陽光パネルの設置角度は、一度設置してしまうと簡単に変更は不可能です。そもそも既存住宅の屋根であれば、設置角度も向きもかえられません。ですから、新築の場合は、設計段階でしっかりとベストな設置角度を導き出しておくことが重要です。


大きな発電量を得る裏技

最後に、1MWのメガソーラーの年間発電量の目安である100万kWを…9カ月あまりで達成してしまった事例を紹介したいと思います。
では、どこの都市でそんな大快挙が起きたのでしょうか?予想出来ますか?
それは、新潟県燕市で起こったことです。
※以下の画像を参照ください。

新潟県の事例月別
想定発電量

出典:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1306/26/news023.html


舞台は、2012年7月に新潟県燕市に設置された「メガソーラーTSUBAME Site」。
1MWのメガソーラー施設です。この施設の当初の見積りでは、年間発電予想量は96.1万kWだったようですが、スタートしてからは全部の月で予想発電量を軽く上回ったということです。どうして、こんなことを実現できたのか?その秘密は、設置角度にあったのです。
「角度が変えられる設計」です。メガソーラーTSUBAMEはパネルの設置角度を、状況に応じて変更していくことが出来るのです。これは実に画期的な事です。例えば夏は18度の設置角度でも、太陽高度が低くなり、雪が降る冬には48度に設定して、季節に応じた角度にしていたのです。

このように設置角度は、非常に重要な項目になるので、必ず確認するようにしてみてください。


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