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大丈夫か、全量買取制度!九州電力買い取り中断の全貌を探る

暗雲立ち込める全量買取制度
2014年9月24日、九州電力は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく新規契約の凍結を発表しました。

対象は、これから設備認定を受けるものはもちろん、すでに設備認定申し込みまでしていて認定を済ませていない、
案件も含まれれるとのことで、10kW未満の住宅用太陽光発電は凍結しないことになっています。

つまり、保留の対象となるのは、全再生可能エネルギーののこれから設備認定手続きをするものと、設備認定手続きは終えたけれど、
認定通知を受け取っていない案件ということになります。

対象外になるのは、すでに設備認定を受けている案件と10kW未満の住宅用太陽光発電になります。

なお、現在設備認定手続きを終えて回答待ちの案件は、69,397件、540万kWと、
これから設備認定を申し込む予定だった2372件680万kWにも上ると報道されています。

以前から産業用太陽光発電が九州に集中している状況を聞いていたので、
いつかはこのときが来るとは思っていましたが、こんなに急に明日から保留にすると発表するのは想定外でした。

九州電力の発表によると凍結=保留期間は、数ヶ月とのことなので、今後どうなるかはわかりませんが、
設備認定手続きを済まし、すでに資材を集めている業者もいるため、九電の今回の発表は、
太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー業界に大きな波紋を呼んでいます。

今回の事例の背景には、一体どのようなことがあるのでしょうか?

ここでは、制度の概要から、現状、今後に至るまで幅広く状況を分析してみたいと思います。

※一部はすでに太陽光発電は今後伸びる可能性はあるか?でお伝えしている通りです。

そもそも再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の内容は?

再生可能エネルギー固定価格買い取り制度では、再生可能エネルギーで発電された電力を
電力会社は規定された価格で規定された期間買い取ることが義務付けられたものです。

事前に電力会社に相談することは必要ですが、規定を満たす限り、
電力会社は、再生可能エネルギーによる電力網への接続及び買取を拒否することはできません。

ただし、今回九州電力が行った措置は、再生可能エネルギーの固定買い取り制度における、
電力会社が電力の安定供給を保証できない場合は、接続及び買い取り拒否をすることができるという
規定に基づいたものになっています。

その規定とは、以下のような内容です。

暗雲立ち込める全量買取制度
出典:スマートジャパンHPより

つまり、電力会社が消費者に対して安定した電力を供給することができない場合は、
再生可能エネルギーの接続や買取を拒否することができるというわけです。

今回の九州電力の発表は、このうちの一番下の送電可能量超過に該当することになります。

どうして中断するに至ったか?

そもそも、電力供給の構造は、発電所で作られた電力を分電所や変電所を通して、
電線網に一定の電圧を保つことで、電圧の高い電線網から電圧の低い消費者の下へ
電力が流れる仕組みになっています。

基本的な蓄電能力は低いため、ほとんど消費される電力は、常に作られた電力になっているのです。

そして、各地方の電力会社ごとにその電力量を調整する必要があり、
また、電力網もさまざまな分電所や変電所を通って電力を分配しているため、
すべての電力網が一定の電圧になっているのではありません。

小さな発電所を含めて、一定区域ごとに電圧を調整しているのが現状のわけです。

そんな中、メガソーラーの建設される場所は一定区域の、しかも人口が少ない=電力ニーズの小さいエリアに
集中していくことから、現状の電線網では、その電力をしっかりと分配することができなくなると想定されたことが、
今回九電が中断するに至った一つの理由です。

さらに、そもそも全体として、すでに九州電力では設備認定した容量が、九州電力の電力供給能力を
超えていることがもう一つの要因です。
各社の供給能力と設備認定量
出典:資源エネルギー庁発表 都道府県別認定・導入量

出典:供給力は資源エネルギー庁発表の「2014年度夏季の電力需給見通しについて」を参照

さらに、太陽光発電の場合24時間電力を発電し続けるのではなく、
日中太陽光が照射される間だけ発電するしくみになっているため、日中の供給量だけが一気に上がることになります。

そうなると、太陽光発電が供給できる範囲というのが、管内の電力需要のうち、
日中の時間における電力使用量のもっとも少ないときにあわせる必要があるのです。

なぜなら、もっとも少ない電力の使用量と供給能力を併せておかないと、
折角太陽光発電が発電したとしても電力の使用道が閉ざされてしまうため、買い取れなくなるからです。

このように、電力の供給能力にも影響を受けたものと考えられます。

今後に与える影響はどうか?
では、九州電力管内でもう太陽光発電は設置できなくなるのでしょうか?

このニュース単体で考えるとそう思われる方も多いとは思います。

しかし、今回新規契約を中断するに至った根拠の一つとしては、すでに設備認定を受けている案件が、
すべて契約に至ることを前提として中止にしています。

一方で、2012年度に設備認定を受けた太陽光発電のうち、2014年3月末までに稼動しているものは、
全体の約5割にしか満たず、そのうちの144件は取り消し処分を受け、他の案件も継続が検討されています。

各社の供給能力と設備認定量
出典:スマートジャパンHPより

以上のことから、今後設備認定を受けておきながら、稼動しない再生可能エネルギー分があることを考えると
今後まったく受け入れをしないということは考えにくいと思います。

また一方で、それでも現状の電力網の状況では受け入れられる上限も限られています。

今後電力網をどう拡充するか、あるいは蓄電設備を増強するなど、
九州電力をはじめとした各電力会社の課題克服度合いによって状況が変わることは間違いないでしょう。

また、すでに設備認定を受けているものと住宅用太陽光発電については、
今後も問題なく買い取ってもらえるので、心配は要りません。

ただし、問題になるのは、九州電力管内以外のエリアもいずれは同じ状況に陥ることです。

当然、今回の問題を契機に全量買い取り制度自体も見直しがかかるでしょう。

そういう意味では、産業用太陽光発電に進出する場合は、
早めに検討をすることは大切になるかもしれません。

産業用太陽光発電を検討されている方は、次のカテゴリにある記事をしっかりとお読みください。
産業用太陽光発電で絶対損しないための投資法



九電だけではなく東北電力も中断を検討している


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