太陽光発電のいろは「みちしるべ」
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全量買取制度のこれからを左右する会議

再生エネルギー政策改革記事
済産業省が再生可能エネルギー政策の見直しを急いでいます。
この記事は、2014年10月16日の日経新聞の記事ですが、いろいろと問題が噴出している再生可能エネルギー政策について、経済産業省総合資源エネルギー調査会が検討をはじめているのです。まずは、有識者からの意見を募り、現状の課題と検討案をまとめているようです。

そもそもの発端は、2014年9月末九州電力が突然再生可能エネルギーの買取を中断すると発表したことにあります。そして、数日内に九電に続いて北海道電力や東北電力、四国電力も追従したことです。これらについては、すでに当サイトでも解説してあります。→九州電力による太陽光発電の買い取り中断が今後及ぼす影響は?北海道電力、東北電力、四国電力も買い取り中止に!一体どうなる

そのことで、このままいくと再生可能エネルギーを普及させるために運用している全量買取制度の財源となる再生可能エネルギー賦課金の一家庭あたりの負担金が、年間1万円を超えるようになるといわれ始めました。もちろん、この額というのは、現在設備認定を受けているすべての案件が実際に稼動した場合に実現するもので、現状の稼働率は極めて低い状態にあります。→再生可能エネルギー負担金が1,000円近くまで上昇すると試算
太陽光発電の稼働率グラフ

一方で、現状の日本の再生可能エネルギーの活用率は、2012年時点で全体のわずか4.1%に過ぎません。そうです、たった4.1%です。
もちろん、2013年、2014年と太陽光発電が普及していってるので、数%程度は上昇して、実際に設備認定を受けているものが稼動したなら、もう少し上昇すると思いますが、それでも10%もいかないのが現状でしょう。にもかかわらず、電力会社は供給過剰に陥り電力の安定的な供給ができなくなるとして、再生可能エネルギーの買取を中止することに決めたわけです。特に現状再生可能エネルギーのうちでも太陽光発電の比率が極めて高いことから、電気を発電する時間帯が偏ってしまうという構造的な原因もありますが、それにしても工夫がないように思います。

【再生可能エネルギー普及率】
再生可能エネルギー普及率

また、再生可能エネルギー賦課金の一家庭あたりの負担額が大きくなることおについても、すでにドイツで同じ経験をしていることから、いずれ同じような状態に陥ることは明白だったはずです。にも関わらず、全量買取制度の財源を再生可能エネルギー賦課金という形にしたことは問題だと思います。再生可能エネルギー負担金については消費者が直接負担するようになっているため、一家庭いくらかという具体的な額がわかってしまいますが、例えば道路を作る費用や、原発の処理にかかる費用、その他いろいろの国の事業については、税金という特定の使途を定めない形で徴収されたのちに、いろいろな用途に使われるわけで、一家庭いくらといった具体的な負担額は明らかになりません。

再生可能エネルギーの普及は日本にとってもですが、世界的に見ても、人類全体、地球全体見ても避けては通れない課題になっているはずです。なぜなら化石燃料は底を突くことが明白なわけですし、地球環境の問題も、もはや待ったなしの状態だからです。にも関わらず、それぞれの小さな利権や批判に振り回されて、施策を二転三転させることに果たして意味があるのでしょうか?と、いろいろと私見を入れ始めるとキリがないですし、どんどん不平や不満を書いてしまいそうなので、やめます。が、私がお伝えしたいことは、木を見て森を見ずになりはしないか、という点です。確かにいろいろな視点もありますし、さまざまに複合的に問題がからまりあっていますし、解決策も一つではないでしょうから、今後の検証を待ちたいと思いますが、再生可能エネルギーの普及が減速するようなことにならないことを祈ります。(私は太陽光発電を促進したい立場でありますが、現状の全量買取制度の買取単価をなんとか維持して欲しいとか、太陽光発電を優遇して欲しいとか、そんなことを言うつもりはありません。ただ、全うに、再生可能エネルギーの普及速度が低下しないことを願っているだけです。)

経済産業省総合資源エネルギー調査会の焦点

では、この審議会では、どのようなことを焦点に話あうことになっているのでしょうか?
ここは、新聞に記載していたことをまとめてみることにしまう。

審議会では、今後の方針を次の3つに分類して、検討しているようです。
  1. 緊急に判断すべき事項
  2. 年度内メドに判断する事項
  3. 中期的に判断する事項

以上をもとにさまざまに絡まりあう利権をどうにかぶつからない方法を探っているようです。
確かに、一つの方法を選択すれば、一つの問題は解決するけれど、一つの問題が新たに出てくるなど複雑になっているようです。
検討案   課題
【緊急】供給過剰の電気を他の地域に送る仕組みを作る ルール整備に時間がかかる
【緊急】既存事業者の発電を抑え、新規受け入れの余地確保する 既存事業者の利益を損なう
【年度内目処】国による新たな認定を中断 事業者の計画狂う
【年度内目処】買い取り価格を下げるため、低コスト事業者を優先する入札制 今までの制度と矛盾する
【中期】再生可能エネルギーにっよる国民負担に上限設定 再生可能エネルギー普及の障害となる恐れ

以上のことは、あくまでも検討事項なので、どれが実現するとかしないとかはわかりません。
しかし、現状の流れをみて、私が予測していることは次のとおりです。

【すでに稼動している案件】
条件変更なし

【今後稼動する案件(年度内)】
(住宅用太陽光発電)
変更なし

(産業用太陽光発電)
1.すでに設備認定申請を出しているもの→一定期間後に今年度の条件で認定されていく
2.これから設備認定申請がなされるもの→条件付で受付開始※1

【今後稼動する案件(2015年度)】
(住宅用太陽光発電)
買い取り価格1kWあたり32円~34円程度で継続
条件等大きな変動はなし

(産業用太陽光発電)
大幅に条件が変わって受付※2

※1.年度内に制限される条件は、おそらく買い取り単価ではなく、契約条項になるのではないかと思われます。
例えば、現状全量買取制度の適用を受けた場合、一年間のうちの最大30日間は、電力会社は電力の買取を停止することができる条項があるのですが、ここの部分が延長されることなどです。

※2.2015年度以降の全量買取制度の適用については、かなり制限を受ける可能性があります。これまでのように、一律で買い取り単価が決まるのではなく、エリアごとの申告制で買い取り価格が決まるとか、先にも出ていたとおり、入札制になるとかです。また、併せて電力の自由化を控えていることから、全量買取制度の適用を受けず、自分たちでやりくりする新しいやり方が出てくることも可能性としては十分あります。

以上、非常に後ろ向きな話が多いですが、私は全量買取制度の適用を受けて、お金を運用することはよいことだと思っています。確かに負担するだけの人にとっては不満があるかもしれませんが、先にもお伝えしましたとおり、人類にとって非常に大切なことであるのは間違いのないことです。そういう意味では、人類に貢献するわけなので、経済的なリターンを得ることは当然ですし、まだまだ黎明期の再生可能エネルギー事業に投資するわけなので、そうおうのリスクを分担(消費者が負担すること)することは決して悪いことではないと思うのです。

いずれにせよ、来年度以降、2015年度以降間違いなく産業用太陽光発電の導入は難しくなり、投資としてのうまみは減っていきます。そうなる前に、2014年度ぜひ、太陽光発電の導入を検討されることをおススメします。※必ず、産業用太陽光発電で絶対損しないための投資法をご覧ください。

ちなみに、住宅用の太陽光発電については、確かに買い取り価格の下落はあると思いますが、そんない大きな運用の違いは出てこないことが考えられますし、そもそも意思決定と稼動までに時間が多くかからないことから、ある程度はゆとりをみて検討作業をしてもよいのかもしれません。

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