庭に太陽光発電を設置する人が多いのはなぜ?
※画像は、スマートジャパンさんよりお借りしました。
屋根だけでは物足らず、庭にも太陽光発電を設置する人が増えています。
- 屋根が狭くて容量が足らないから庭にも設置
- 屋根に設置できないから庭にも設置
- 庭を有効利用していないから
- 屋根と併せて10kW以上にして産業用の適用を受けたいから
太陽光発電を庭に設置すると一言で言っても、いろいろなニーズや状況があるのがわかります。
果たして庭に太陽光発電を設置するのには、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
ここでは、太陽光発電を庭に設置する場合のメリットやデメリット、注意点などを解説しました。
太陽光発電を庭に設置するメリット
庭に太陽光発電を設置することの一番大きなメリットは、設置できる面積が増えて、容量を大きくすることができることに尽きると思います。
すでに太陽光発電を庭に設置した人の事例にもありますとおり、
例えば、屋根の向きが悪かったり、屋根の状態や素材が原因で太陽光発電が設置できなかった場合でも、
庭が広くて日当たりがよければ、太陽光発電を設置することができます。
また、屋根だけだと10kW未満で住宅用太陽光発電としてしか全量買取制度の適用は受けられなくても、
庭にも設置することで、10kW以上の産業用にすることもできるようになります。
住宅用太陽光発電→産業用太陽光発電になるメリットは、次の4つがあります。
- 規模が大きくなるため発電量が増える
- 固定価格買取制度の適用期間が10年→20年になる
- 余剰電力の買取→全量買取の適用になる
- 向きや角度を自由に調整できる
このように、10kW以上の規模にするだけで、非常に大きなメリットを得られることになります。
特に現状購入する電力は、一般的な家庭で1kWhあたり24円なのに対して、
2014年度に設備認定を受けた場合の売電単価は、1kWhあたり産業用で32円+消費税、
住宅用で37円となっているので非常におトクです。
これが、10年から20年になるのは非常に大きなメリットがあるといえるでしょう。
一方で、住宅用太陽光発電→産業用太陽光発電になるデメリットは次の2つがあります。
- 全量買取制度の売電単価が下がる
- 九電のケースのように設備認定を受けにくくなる可能性がある
産業用太陽光発電の適用を受けると九電のケースでは、設備認定を受けられなくなる事例があります。
→九州電力による太陽光発電の買い取り中断が今後及ぼす影響は?
九州にお住まいの方以外でも、今後はこういったケースが増えてくる可能性があるので注意が必要でしょう。
また買取単価が下がることについては、住宅用が1kWhあたり37円なのに対して、
産業用は32円+消費税となっていることから、若干の値下がりといえるでしょう。
なぜなら、消費税が8%のときでは、買取単価は34.56円、10%に増税されると35.2円となり、
消費税は10%になることがほぼ確定しているので、1kWhあたり2円弱しか安くないといえるからです。
これらを総合的に考えるとやはり産業用太陽光発電にすることは、デメリットよりメリットのほうが大きいと
考えることができるのですが、ことはそう簡単ではありません。
現在の電気代は、実際1kWhあたり24円程度ですが、今後これがどうなるかわからないからです。
原発は今後稼動は縮小していくでしょうし、縮小しない場合、使用済み核燃料の処分に非常に大きなコストを要します。
火力発電は、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を原料としていることから、
化石燃料が将来的に枯渇することを考えるとますます価格は上昇するでしょう。
再生可能エネルギーの発電効率はまだまだあまりよくないので、電力の原価は高いです。
これらのことを総合的に考えると電気代は将来的にもっと値上がりする可能性はあると思います。
電気代が今後上昇していくのであれば、自宅で使用する電力を太陽光発電によるものにチェンジしたほうが、
メリットが大きくなることになるので、その場合は全量買取より余剰買取のほうがメリットが大きくなってきます。
ただし、今後電気代がどうなっていくかは、不透明な部分が多いため、
やはり、住宅用か産業用か選べるのであれば、産業用の適用を受けたほうがよいのは間違いなさそうです。
太陽光発電を庭に設置するデメリット
- 太陽光発電を設置した場所は他の用途に使えなくなる
- 設置費用が屋根に設置するより割高なことがある
基本的には他の用途に使えなくなることと、工事費用が若干割高になることくらいです。
また、当然雑草等の対策をする必要も出てきます。
→遊休土地に産業用太陽光発電を設置する場合の雑草対策
いずれにせよ、庭を現在有効に活用していない方は、太陽光発電を設置するとよいといえるでしょう。
逆に庭を現在何かしらの用途で活用している方は、
その活用方法が向こう10年、20年にわたって制限されることを踏まえて検討するべきでしょう。
太陽光発電はお金の問題なので、簡単に導入すべきかどうかを判定することはできますが、
お金以外の用途に使っている場合は、判断軸がお金とそうでないものとの比較になるため、
非常に判断が難しくなっていく側面があります。
よりよい人生をいきていくという観点から考えて、太陽光発電を設置してお金を得たほうがよいか、
それとも現在使用している用途を継続することで、満足を得たほうがよいか比較するとよいでしょう。
もし、庭に太陽光発電を設置して10kW以上の産業用にするのであれば、必ず次のページをご覧頂くことをおススメします。
産業用太陽光発電で絶対損しないための投資法
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