太陽光発電のいろは「みちしるべ」
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実際に発電量は、公称最大出力・定格出力より低いです。

陽光発電を導入するとどれくらいの発電量を得られますか?
よく聞かれる質問です。

うちは、○kWh設置するから、月間○○、年間○○出力するとか、
シャープの単結晶だからとか、パナソニックHITだからとか、
いろいろと気になるかもしれませんが、いずれにせよ設置容量と実際に発電量は合致しません。

もちろん、素材やメーカーによってより多く発電する、より少なく発電するといったことはありますが、
基本は、導入した容量に対して、設置場所の環境や設置したパネルの相性で発電量が異なります。

そして、いずれに場合にしても、定格出力・公称最大出力は発電することはあまりありません。

そもそも、決められた条件の元で安全に達成できると保証された最太発電量を定格出力=公称最大出力といい、
カタログやパンフレットなどには電力の公称出力値として表記されています。

公称最大出力・定格出力とは?

定格出力(公称最大出力)とは、
JISの規格で定められた以下のような標準試験条件の下で発電される最大出力のことを意味します。

標準試験条件とは、
  • 太陽電池モジュールに当てる光の量(強さ)=1kW/㎡ 
  • 太陽電池モジュールに当てる光の質=エアマス1.5
  • 太陽電池モジュールの温度=表面温度25℃
これらの条件を一定にして設定されます。
※標準試験条件について詳しくは、太陽光発電メーカー各社の1kWあたりの年間発電量でご確認ください。

2014年においては、住宅用の平太陽光発電の平均設置容量は概ね4kWくらいだと想定されています。

この太陽光発電の容量、公称最大出力4kWというのは、標準試験条件下において一瞬間に4kWを発電し、
それを1時間継続した場合、4kWh発電するということを意味しています。

しかし、自然の状態では、常にJISの定める標準条件と同じ環境になることはほとんどなく、
公称最大出力通りに太陽電池モジュールが発電することはほとんどありません。

そのため、JISが定めた基準の前述した表面温度25で、日射強度lkW/㎡といった状態での出力が、
公称最大出力の90%以上ならば出荷してよいとされています。

設置された場合の発電量はどのくらいか?

では実際に設置された場合、どれくらいの発電量を得ることができるのでしょうか?

先にもお伝えしたとおり、自然状態においては、標準試験状態と同じ環境はほとんどないため、
実際の出力は、公称最大出力に到達することは常にないと考えておいたほうがよいです。

定格出力・公称最大出力が100%にならない要因は、温度上昇、システム内部の電力喪失、ガラス表面のホコリなど、
さまざまなものがありますし、そもそも設置場所の条件等にも左右されます。
太陽光発電と設置場所の条件や環境との関係参照ください。

たとえば、結晶シリコン系の太陽光パネルを屋根の上に設置すると、太陽光がガンガン照射された場合、
表面温度が気温に比べて格段に高くなります。

真夏の日中などでは、気温が30℃くらいあるときだと太陽電池内部は70℃にも達するとも言われています。

結晶シリコンは、温度が1℃上昇すると0.45%出力が低下するといわれています。

さらに、パワーコンディショナーで、作られた電気が直流から交流に変換される際にも、
2~8%程度は、発電した電力をロスするといわれています。

さらに、パワーコンディショナーに電気を送る役割を持つ、接続箱でも、約1~2%くらいの電力が消失します。

さらに太陽電池のガラス表面にゴミやホコリが付着すると、場合によっては5%程度の出力低下が出ることもあります。

このように、さまざまな影響を受けて、自然界では晴天時でも、実際の出力は公称最大出力の73~75%程度になるといわれているのです。

※これまで私が見た実際に設置されている状態での最大出力は、
ソーラーフロンティアのパネルが1kWあたり、なんと1,700kWhも発電したケースです。
もちろん、この場合は、日照時間や日影条件などさまざまな点で有利だったのはいうまでもありません。

【参考資料】
電流-電圧特性曲線
太陽電池の電流-電圧特性(概念)
電流-電圧特性曲線>

太陽光発電モジュールの出力特性を測定すると、上図のような【電流-電圧特性曲線】が得られる

太陽光発電モジュールは上記曲線上の一点でのみ動くことができるが、その中でも電流と電圧の積(図中の四角い部分の面積)、すなわち電力が最大になる点での出力を定格出力といいます。

定格出力・公称最大出力と発電量の差はなぜ生まれるか?関連ページ

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